培養を介さない分子生物学的プロファイリング法を用いた新規ヒト皮膚常在細菌の探索

   I. Dekio, H. Hayashi, M. Sakamoto, M. Kitahara, T. Nishikawa, M. Suematsu, Y. Benno.
   Detection of potentially novel bacterial components of the human skin microbiota
   using culture-independent molecular profiling.
   J Med Microbiol 54(12): 1231-1238, 2005
  

  皮膚の常在微生物の知見は培養法に基づいているため、 これまで難培養難分離性の微生物については解析されておらず、その存在についてすら明らかではない。 われわれは、難培養難分離性の細菌を含む皮膚常在細菌の全体像を明らかにするため、 培養を介さない細菌16S rRNA遺伝子の種間多様性を用いたプロファイリング解析を試み、培養法による解析と比較した。
   5人の健常成人の前額部皮膚擦過サンプルから直接DNAを抽出し、細菌種ごとに異なる配列をもつ16S rRNA遺伝子を増幅、クローンライブラリ解析を行った。得られた計416個の16S rRNA遺伝子配列を解析したところ、これらは19の既知種と13の難培養難分離性の細菌群(phylotypes)由来と判明した。検出された19の既知種には、皮膚常在細菌として過去に報告がある10種のほか、皮膚常在細菌としての報告がない9種が含まれていた。一方で13のphylotypesが検出されたが、この中でもっとも多く検出されたphylotype Aは、3つのサンプルで検出され、特に1つのサンプルでは全菌種中もっとも多く検出された。
   本研究において、細菌16S rRNA遺伝子を用いたプロファイリング法により、ヒト皮膚常在細菌の全体像が難培養難分離性の細菌群を含む多彩なものであることが明らかになった。この培養を介さない手法は、今後皮膚常在細菌の解析に有用な技術となることが期待される。

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